Jump to text content
ショッピングバッグ

ショッピングバッグは空です。

商品合計
送料
合計金額
購入 ショッピングバッグ
Content of the page

COS × オリバー ファン ヘプト

2017年4月

オランダ人アーティスト、オリバー・ファン・ヘプトは、ナチュラルな素材と最新のテクノロジーを駆使して、複雑で繊細なテクスチャーを特徴とするセラミックを作り上げるプロダクト・デザイナー。オランダのデザインの首都、アイントホーフェンを拠点に、過去数年にわたる膨大なリサーチと試行錯誤から、3Dプリントと独自のデジタル製造メソッドを開発しています。

COSとタッグを組んだオリバーは、自らが作り上げた3Dプリンターを使用して5種類の花瓶をクリエイト。 現在それらの作品は、各地の厳選されたCOSストア内に展示されています。

 


オリバー・ファン・ヘプト  インタビュー

Q : クリエイティビティーに溢れるあなたの作品はどのようにして作られるのでしょうか?

A : 私にとってデザインをするということは、新しいシェイプを生み出すこと。また、自分が開発した機械を使って、一体どんな斬新なものができるかを探求する作業です。まず作品となりうる模倣品をつくり、それををよく研究し、作業工程をひとつひとつ改良していく…。実質的に、私が作りたいものを可能にする機械をデザインしているのだと思います。

Q : COSの特注を受けて製作した花瓶についてお聞かせください。

A : まずは COSの春夏コレクションを研究し、スポーツウェアにインスパイアーされたアイテムに興味を抱きました。そのシェイプ、カラー、手触りのいいファブリック。テクスチャーとアウトラインの絶妙なコンビネーション…それはまるで洋服と着ている人が融合して、新たな形を作り上げているように見受けられました。私はこのアイデアから発想を得て、5つの花瓶のデザインコンセプトを発展させました。

Q : 昨今のテクノロジーの進歩によって、アーティストと彼らが作り上げる作品との関係が変わってきていると思いますか?

A : アーティストたちは今、デジタルで作品をつくり、それを瞬時に世界の人々とシェアしています。デジタル化、また誰でも容易に物作りが できるようになったことが、この潮流の追い風となっていることは間違いないでしょう。膨大な時間をかけずとも、人々は手軽に作品をつくることができる。これは、テクノロジーの進化の賜物とも言えるでしょう。

Q : いつごろから、デジタル製造メソッドを使って作品作りを始めたのですか?

A : 小さい頃から常に機械に深い興味を抱いていました。奇妙な箱がガタガタと音を立てたり、ボタンやダイヤル、レバーやライトが付いたメタル製の奇妙な仕掛け、新しいものを作り出す全てのもの…生まれてこの方、何かを作る工程や作業にずっと心を躍らされています。そしてこれこそが、デザイナーとしての私のゴールであると思っています。”斬新なものをクリエイトすることができる機械を作りたい!”、これに尽きると思います。

今までの経緯ですが、まずプラスチックをペイントすることから始めました。その後クレイに切り替え、最後には様々な異質のマテリアルで実験的な創作を開始しました。後に3Dに移行、自らデザインした3Dのセラミックを作りましたが、大きな問題に直面してしまいました。素材がすぐ壊れてしまうのです。その原因はクレイに水を混ぜ合わせることだと分かってから、事は好転していきました。クレイを形成する機械を改良し、ハードクレイを使用することによって、今までと比べて大きな作品かつ、複雑なディテールをもった作品作りが可能になりました。

Q : パラフィンやクレイなど、様々なマテリアルを使っていますが、一番好きな素材は何ですか?

A : ナチュラルなマテリアル、それもその産地にはとてもこだわりがあります。それらがどこで生産されたのか、製作過程などが詳細にわかる素材を使っています。理想的なものは、人間が何千年も使用してきたもの、たとえばクレイなど。高貴な素材といえるクレイは、採掘された時は柔らかく、延ばして変形することができる素材ですが、火で焼くと硬くなり耐久性に優れたものとなります。様々な複雑なディーテールを加えることができる素材であるだけでなく、使用時はとても強固、かつ軽い。私は他のアーティストたちにも、プラスティックではなく、出来るだけナチュラルなマテリアルを使ってほしいと思っています。

Q : 3Dプリンティングを製作するにあたり、実験的な作業過程は、今でもまだあるのでしょうか?

A : 3Dプリンティング自体、今でもまさに”実験作業”であると思います。機械を作ること、コードに微調整を加えること、3Dファイル、そして機械自体も全てまだ実験的な段階です。機械の全ての機能を調整し、現実的な製造工程を可能にするには、信頼のおける実験的な作業が不可欠なのです。3Dプリンティングでは、数多くのパラメーター、設定、変数などが存在します。機械はオープンフレームとしてデザインされているので、3Dプリントに微妙な調整を与えることができ、機械的な作業工程に、人間的な温もりを添えています。 さらに実験的な試みとして、作業工程にセレンディピティー(思いがけないものを偶然に発見すること)やランダム性を加え、技術的なことだけを前面に出すことなく、より詩的な、かつコンセプチャルな過程で作品が作られていくよう改善を重ねています。

Q : あなたのデザインは、とても複雑で触感的ですよね。作品のテクスチャーは、あなたにとってどのように重要なのでしょうか?

A : 私の開発した3Dプリンターでは、作品のテクスチャーをほぼ自由自在にコントロールすることができます。私のきまぐれで、作品の見た目を完全に変えてしまうことができる、ということです。通常私は、構図的なディテールを研ぎ澄ませながら、テクスチャーに大きな重きをおいています。たとえば畝のあるデザインを用いては、比較的大きな作品を作ることができますが、クレイなどをアレンジして、大胆なその畝に落ち着きのある表情を加えることもできます。これらは全て、作品にランダム性を与える実験的な作業と言えます。

Q : あなたの開発した製造ツールは、単に機能的なのでしょうか? それとも作品の仕上げにタッチを加えるような、何かユニークな機能も備わっているのでしょうか?

A : 外見だけでは、確かに機能性が前面に出ています。地元の工場で生産される各パーツを使ってヨーロッパで生産され、シンプルで理路整然としたデザイン、そして機能を極めています。私は、 形成機、3Dプリンター共ども、洗練されたデザインであり、アトリエや工場においても、美しくその空間に馴染む機械であってほしいと思います。そしてそれが、不必要なものや意味のないものを一切排除し、磨き抜かれたデザインであることは必須だと考えています。

Q : 3Dプリンティングの未来について、あなたの考えをお聞かせください。また、技術的な向上において、今後どんなことを期待していますか?

A : 多様なマテリアルに対応できる3Dプリンターの開発でしょうか。またナノ的なスケールで作品を製作できる3Dプリンターにもとても興味があります。一般的に3Dプリンターは現在、航空宇宙業界や自動車業界で使われています。また、3Dプリントのテキスタイル、といった新しいユーニークな分野で3Dプリンターが進化を遂げていくことを願っています。

Q : 来年はあなたにとってどんな年になるのでしょうか?

A : 最近、今までより大きめなスタジオに引っ越し、抱えている新しいプロジェクトに適切な広いスペースを確保しました。私がずっと着手してきた、セラミック3Dプリンターの最終プロトタイプがそろそろ完成予定で、プロダクションももうすぐスタートできそうです。自分が製作するだけではなく、その機械を使って、他のアーティストがどんな作品を作ってくれるのかとても楽しみです。